石油セクター為替法概要
平成24年8月
※掲載情報については様々な注意を払って掲載しておりますが、
その完全性・正確性・
有用性・安全性等について外務省・大使館が保証するものではありません(参考:法的事項)。
実際の手続き等にかかる詳細等は,アンゴラ側当局に直接確認する必要があります。
2012年5月12日,石油関連業務の決済においてアンゴラ国内銀行の利用を義務づける,石油セクター為替法(法令第2/12号)が発効されました。
目的(第1条)
石油(含天然ガス)の関連事業から発生する,支払等の為替業務に対する規則を定めることを目的とします。
対象(第2条)
法令本文では,適用対象を以下のとおり定めています。
・石油採掘権所有組織(Concessionária Nacional)(注1)
・その関連組織(suas Associadas)
注1:石油事業基本法(法令第10/04号)第4条では,ソナンゴル社と規定
EXPANSÃO(2012年7月22日付)では,以下の組織が対象例として挙げられています。

採掘企業
(Operadores) |
ジョイントベンチャー・
パートナーシップ企業 |

石油関連業務に関わる
非石油セクター企業 |
・Sonangol P&P
・Irosa
・Somoil
・Total
・British Petroleum
・Esso
・Chevron
・Tullow
・Eni 等 |
・Saga
・Nirangola
・Prodey
・Petrogal
・Falcon Oil Holding S.A.等 |
・WAPO Angola(サービス提供)
・Sodispal(小売業等)
・Bricomil(土木工学)
・Manubito(貨物船等)
・Angoflex(パイプライン等)
・Sonils(ロジスティクス等)
等 |
アンゴラ国内銀行による仲介の義務づけ
ソナンゴル社および国内/海外の関連組織は,アンゴラ国内に存在する銀行を通じ,為替業務の決済を実施しなければなりません(第5条)。
このため,関係者はアンゴラ国内銀行に,ドル建てとクワンザ建ての口座をそれぞれ有する必要があります(第6条2項および4項)。
BNAの役割
本法は,為替業務の決済等を行うに際し,BNAによる事前承認を原則不要としています(第9条1項)。
他方,採掘企業は四半期に一回,BNAに対し,アンゴラ国外に在する財・サービス供給者と締結した契約のリストを提出しなければなりません(第16条1項)。
またソナンゴル社および関連組織も,BNAへの為替業務(輸出入,再輸出,貿易外取引に係る支払,資本の輸出入,国外での口座開設)の登録が義務づけられています(第17条)。
BNAによる段階的スケジュール制定(BNA20/2012号)
上記法令を受け,BNAは告示20/2012号において,石油セクター為替法施行のスケジュールについて発表しました(第3条,第4条)。
以下のスケジュールに従い,段階的に実施される予定です。
期限 |
内容 |
ソナンゴル社・関連組織(第3条) |
採掘企業(第4条) |
2013年 |
5月13日 |
アンゴラ国内銀行の外貨口座に納税額の入金 |
(規定なし) |
2012年 |
10月1日 |
アンゴラ国内銀行口座(外貨又は国内通貨)を通じ,財・サービス供給に対する支払義務化 |
アンゴラ国内銀行口座(外貨又は国内通貨)を通じ,国内居住の財・サービス供給者への支払義務化 |
2013年 |
7月1日 |
国内通貨クワンザによる,アンゴラに在する企業との契約に対する支払義務化 |
国内通貨クワンザによる,国内居住の財・サービス供給者への支払義務化 |
2013年 |
10月1日 |
(規定なし) |
アンゴラ国内銀行口座を通じた,国内非居住者(entidades não residentes cambiais)への支払が義務化 |
アンゴラ経済に予想される影響(参考:EXPANSÃO)
EXPANSÃO(2012年6月22日付)の分析では,本法実施により, 毎年126億ドルが国内銀行システムで新たに流通すると言われています(2011年の石油税収は379億ドルで,内253億ドル分がソナンゴル社によるもの。残りの約126億ドルが新たに国内銀行システムに流通する計算)。
これまでの石油セクターにおける支払は,海外銀行口座から直接行われており,石油関連税等も直接BNAに支払われていました。このため,本法実施により,アンゴラ国内の商業銀行業務に推進力を与えるとともに,アンゴラ経済の発展に資するのではないかという期待もよせられています。
他方,より多くの資金が流通するようになり,融資等の機会が増えることで,運営における透明性を確保する責任も生じることとなります。
さらなる変更の可能性(参考:EXPANSÃO)
その一方,EXPANSÃO紙(2012年8月10日付)によると,BNAは同法に関し,さらに何らかの修正を行う可能性がある旨報道しています。
その背景には,採掘企業および関連組織が,アンゴラ国内銀行の対外支払実施能力に疑問を有していることがあります。
加えて,アンゴラ銀行側も,採掘企業等が取引先銀行に,スタンダード銀行といった国際的に事業を展開する大手銀行を優先してしまう可能性を懸念しています。
参考資料・リンク
・BNA20/2012号(PDF)(アンゴラ中央銀行HP)
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