アンゴラにおける外国企業設立等の概要
※本データは、丸紅株式会社様より頂いた情報を元に作成しております。
※実際の手続き等にかかる詳細運用状況については、アンゴラ側当局(ANIP等)に確認する必要があります。
外国企業による設立手続き

民間投資法(Law No.11/03 of 13 May)に基づき、外国企業は工事を行える。方法は、現地法人設立と支店設立の2通りあり、いずれの場合も時系列的に以下の手続が必要となる。
1.ANIPに投資許可を申請。申請書を提出する場合の原則は以下の通り。
・最低資本金(最低投資額)は10万米ドル。
・投資金額によって許認可の容易さ、認可にかかる時間が異なるため注意が必要。
・投資金額が500万米ドル以下の申請の場合、ANIPのみで決定される。数ヶ月(約2ヶ月~6ケ月)で許可が降りる。
・投資金額が500万米ドル超の場合、ANIPから閣議へ回される。この場合、許認可に要する日数は不明で、一般的に非常に時間がかかると言われている。
2.ANIPが投資登録証明 (CRIP: Certificado de Registo de Invetmento Privado)を発行し、ANIPからアンゴラ中央銀行に対しコピーが送付される。
3.アンゴラ中央銀行から申請額のCapital Import Licenseが発行され、資金の送金が可能となる。
4.公証人役場で支店の定款を登録。商業登記局で支店を登録。公証人が官報に支店設立を発表すると同時に、税番および社会保険を登録。
5.支店設立時に最低法人税(Minimum Tax)を納税する。
6.オペレーション・ライセンス(工事許可も兼ねる)を商業省へ申請する。
※ここまでに要する大まかな時間は、上記1から5までに約4ヶ月、6で約1ヶ月の、合計5ヶ月程度である。
※事務所設立申請のため、会社定款など書類が多々必要となる。日本語、英語の書類は、在日本アンゴラ大使館公認の翻訳(公証翻訳人による翻訳)にアンゴラ大使館の認証が付いたものを添付しなければならない。
※免税措置:免税許可を得るには、ANIPに対し支店設立申請時に案件説明と共に免税を申請する必要ある。許可されればANIPによる投資許可(支店設立許可)証に免税項目が記載される。(詳しくは「免税措置」の項目参照。)
※代表事務所(Representative Office)はアンゴラでビジネスを行えず、他のアンゴラ企業の株式も所有できない。本社の代理人業務に限られる。
労働法
1.アンゴラ人最低雇用割合の規定
政令(No. 5/95、6/01)により、外国企業における外国人従業員割合は30%以下、70%以上はアンゴラ人でなければならないと決められている。これは、外国人が行っている仕事をアンゴラ人に置き換えていきたいという政策によるものである。アンゴラ人はどのような職種でもよく、支店の給料支払い簿に載ればよい。人材派遣会社からの派遣では給料支払い簿に載らないので満たさない。なお、労働法はMinistry of Employment & Social Securityの管轄となる。
2.解雇
一定の条件の下、3年以内の雇用契約(一時的雇用)を結ぶことが可能であり、その場合は雇用契約に基づき解雇できる。3年以上の雇用契約は恒久的雇用と見做される。なお、アンゴラにも労働組合(UNION)は存在する。
外国為替法

1.支店は、クワンザ口座、米ドル口座、ユーロ口座を持つことができる。法律上、クワンザと外貨の交換は自由だが、外貨準備高等の要因により制限される。クワンザの外国への持ち出し及び送金は禁止されている。
2.必要許可を取れば、外国企業の外貨資金を本国へ送金することは法律上可能であるが、許認可には財務省発行の納税義務完了証明、ANIPによるPrivate Investmentの法令順守証明等が必要である。送金税はない。年間送金額が累計10万米ドルを超えると中央銀行の事前許可が必要となるが、昨今政府は外貨の預金準備率を30%に引き上げており、外貨準備高等より制限を受ける可能性がある。
3.アンゴラの市中銀行から借り入れが可能。借入金利は米ドルで10%~15%程度である。定期預金に預けても同様の金利が付くようである。
法人税
※アンゴラにはまとまった税法はない。数々の通達の累積が税制となっている。
1.法人税率は課税所得(Net Profit)の35%で、現地法人および支店においても同様である。
2.居住者の場合(支店も該当)、確定申告を行う。一課税年度は1月1日から12月31日で他の期間は認められない。納税方法は以下の通り。
・支店設立時にMinimum Taxを納税する。Minimum Taxは前払い税金扱いとなる。
・1月~12月が課税年度であり、確定申告期限は5月31日。予納制度がある。
免税措置
以下の地域、産業への投資につき免税措置がある。
1.基準:地域による基準と、業種による基準がある。免税適用には両方の基準を満たすことが必要となる。
(1)地域による基準
(a)ZONE A : ルアンダ州および、ベンゲラ州、ウイラ州、カビンダ州の主要都市、ロビト市
(b)ZONE B : ベンゲラ州、カビンダ州、カビナ州のZONE A以外の都市
および、クワンザ・スル州、ベンゴ州、ウイジ州、クワンザ・ノルテ州、ルアンダ・ノルテ州、ルアンダ・スル州
(c)ZONE C: ウアンボ州、ビエ州、モシコ州、クアンド・クバゴ州、クエネ州、ナミベ州、マランジェ州、ザイレ州
(2)産業による基準
(a)農業、畜産業
(b)製造業
(c)漁業
(d)土木建築業
(e)健康・教育産業
(f)道路、鉄道、港湾、空港、通信、エネルギー、水事業
(g)重量物・人の運搬機器
2.免税対象
(1)関税免除:
ZONE A への投資 :3年間
ZONE B、Cへの投資 :4-6年間
※新品に対しては100%関税免除。中古品に対しては50%関税免除。
(2)法人税免除:
ZONE Aへの投資 : 8年間免除
ZONE Bへの投資 :12年間免除
ZONE Cへの投資 :15年間免除
(3)配当及びキャピタル・ゲインに対する課税免除
ZONE Aへの投資: 5年間免除
ZONE Bへの投資:10年間免除
ZONE Cへの投資:15年間免除
(4)投資案件に関して、土地、建物を取得した場合の不動産税の免除。
個人所得税、社会保険料等

1.外国人は、労働許可を取得して入国後、アンゴラ滞在日数に係わらず個人所得税を課税される。出張査証では滞在可能期間が1ヶ月しかない。仮に労働許可を取得せず働いた場合は、会社に対して5,000米ドルの罰金が課されるため注意が必要。
2.課税対象所得
(1)給与
(2)特別給与(ボーナス等)
(3)諸手当て
(4)残業代
(5)会社負担の家賃
3.非課税対象所得
(1)会社から貸与される車
(2)会社宿舎
4.社会保険料
アンゴラ人に対しては会社負担8%、従業員負担3%。月次給与を対象とする。外国人は本国で社会保険料を納付している限りアンゴラでの納付は不要である。
印紙税
契約締結時、定額で納税する。金額は50万クワンザ程度で、受益者が納税する。さらに、インボイス提出の度に、インボイス金額の1%を、インボイス発行者が納税する。納税を遅延すると1ヶ月に2.5%の延滞金利が発生する。印紙税という名目の「売上税」に近い。
消費税(Consumption Tax)
1.物、サービスによって2%~20%。多段階で取引があっても最初の1回のみにかかる。
2.課税対象:製造された物、輸入品、電気、水、電話・旅行サービス
3.物についてはメーカーが工場出荷時に、輸入品については輸入者が輸入時に、サービスについてはサービス提供者がサービス提供時に納税する。
4.なお、アンゴラにVATはない。
関税
関税は5%~35%まであり、物によってレートが異なる。
租税条約の有無

現在アンゴラと租税条約を締結している国はない。
その他
1.工事契約の申告方法
年度毎に出来高ベースにて申告。完工基準ではない。出来高とは、客先が承認した出来高であることが必要。
2.財務諸表
法定帳簿はポルトガル語。財務諸表に対してアンゴラ会計士の会計審査が必要。
3.税制一般
(1)損失繰越し : 3年
(2)時効 : 税務申告提出日より5年
(3)外貨のクワンザ換算: 取引日の為替レートで決定される。継続性があればどの銀行のレートでもよい。
(4)現金払いに金額の制限はない。
(5)固定資産売却益は通常の法人税課税所得に含める。
4.本社発生経費の現地損金算入の可否
・本社一般経費の損金算入はできない。
・本社払いの仕入れ、原価は損金算入できる。
・証拠書類は英語のものでよい。現地会計士が英語を解す場合ポルトガル語訳は不要。仮にポルトガル語訳が必要となっても公証翻訳人の翻訳でなくてもよく、大使館の認証も不要。
5.交際費
交際費は前年度の課税所得の5%まで損金算入が可能。
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