アンゴラにおける民間投資法概要
平成24年8月
※掲載情報については様々な注意を払って掲載しておりますが、
その完全性・正確性・
有用性・安全性等について外務省・大使館が保証するものではありません(参考:法的事項)。
実際の手続き等にかかる詳細等は,アンゴラ側当局に直接確認する必要があります。
2011年4月,新民間投資法(法令第20/11号)がアンゴラ議会で承認され,同年5月に公布および発効されました。アンゴラの経済発展に資する投資を促進する方針を軸に,利益送金の拡大(第18-22条)や税の控除(第25-48条)等,優遇措置について定めています。
しかしながら優遇措置の内容や基準についてすべて具体的に規定されているわけではなく,交渉可能で契約ベース(第51条等)とも言われています。
また,石油,ダイアモンド,金融セクターに関する投資は,別途関連法に従う必要があります(第4条)。
(※上記民間投資法については,BPI等にて入手可能です。 )

(ルアンダ市内,2012年)
1 基礎情報
(1)最低投資額
アンゴラ投資にあたり,インセンティブや優遇措置等の恩恵を享受する最低投資額は,100万米ドルです。
(なお旧投資基本法(法令第17/03号)では,アンゴラ人投資家は5万ドル,外国人投資家は10万ドル以上でした)。
(2)優遇措置を享受するための必要条件(第21条)
① 次の分野における投資
・農業・牧畜業
・加工業
・インフラ(鉄道,高速道路,港湾,空港等)
・遠距離通信,情報通信
・漁業
・エネルギー・水
・住宅(Habitacao Social)
・保健・教育
・ホテル・観光業
② 開発地区および政府が指定した経済特区への投資
③ 政府が指定した免税特区への投資
(3)インセンティブ付与の基準と目的(第27条)
・アンゴラ経済の成長促進
・国内地域の格差是正
・一部に国産の原材料を使用した上で,国内生産力を増加し,国内生産の付加価値を高める
・アンゴラ人に対する雇用創出,労働力の質の向上
・技術移転による生産性の向上
・輸出量増加,輸入量の減少 等

(ルアンダ市内,2012年)
2 投資案件の承認プロセス
(1)投資額による承認プロセスの相違(第60条)
優遇措置を受ける投資は,投資額によって以下の3つに分けられ,承認プロセスがそれぞれ異なります。
a) 100万ドル以上1000万ドル未満
→財務省の承認を踏まえ,ANIPの理事会(Conselho de Administracao)が承認。
b) 1000万ドル以上5000万ドル未満
→閣議(Conselho de Ministros)の審議後,行政府の長(Titular do Poder Executirvo)が承認。
c) 5000万ドル以上
→行政府の長は,投資家と交渉し,最終決定を行うために,優遇措置交渉特別委員会
(CNFI: Comissao de Negociacao de Facilidades e Incentivos ad hoc)を設置することができる。
(2)承認プロセスのタイムライン(第57条, 第59条,第60条,第64条,第66条)
一般的な承認プロセスのタイムラインは以下のとおりで,数ヶ月要すると考えられます。
①ANIPへのプロポーザルの提出,受理
②CNFIへのプロポーザル提出と投資家との交渉(30日)(第57条3項)
③CNFIの最終承認の発出(10日)(第57条4項)
④関係機関に対する承認要求(5日)(第59条1項)
⑤最終決定(15日)(第60条4項)
※投資家との交渉が成立した場合(第59条1項):15日間
成立しなかった場合(第59条2項):30日間
⑥ANIPと契約の締結
⑦民間投資登録証書(CRIP)の登録と発行(15日)(第64条)
⑧中央銀行による資本輸入ライセンス発行(15日)(第66条)
3 投資地域における優遇措置期間の差異(第35条)
民間投資法は,地域格差を是正すべく,投資地域を以下のゾーンA,B,Cと区別し,優遇措置の期間に差をつけています。
ゾーンA:ルアンダ州全体,ベンゲラ州ベンゲラ市及びロビト市,ウイラ州ルバンゴ市,カビンダ州カビンダ市
ゾーンB:ベンゲラ州(ベンゲラ市及びロビト市を除く),カビンダ州(カビンダ市を除く),ウイラ州(ルバンゴ市を除く),クワンザ・ノルテ州,クワンザ・スル州,マランジェ州,ナミベ州,ウイジ州
ゾーンC:ビエ州,クネネ州,ウアンボ州,クアンドクバンゴ州,ルンダノルテ州,ルンダスル州,モシコ州,ザイレ州
具体的には,以下の項目で待遇差が定められています。
(1)利益・配当金の送金に対する権利基準(第20条)
ゾーンA: 1000万ドル未満の海外投資 – 実施3年後に送金可
1000万~5000万ドル未満の海外投資 - 実施2年後に送金可
ゾーンB: 500万ドル未満の海外投資 – 実施2年後に送金可
(上記以外の場合については,法令で規定されていません)
(2)産業税(Imposto Industrial)(第38条)
免除,または減額対象となる期間が以下のとおり異なります。
ゾーンA:1~5年
ゾーンB:1~8年
ゾーンC:1~10年
(3)投資資本税(Imposto sobre aplicação de capitais)(第40条)
税の免除,減額の期間は以下のとおり異なります。
ゾーンA: 最大3年
ゾーンB: 最大6年
ゾーンC: 最大9年
(4)SISA税(第41条)
プロジェクトに関連する土地や不動産の取得のための税は,控除・減額の対象ですが,そのためには管轄税務局に同措置を要求する必要があります。

(ルアンダ市内,2011年)
4 最大限の免除を付与する基準(第42条)
免除の最大額を得るためには,以下の条件を満たす必要があると規定されています。
ゾーンA: 5000万ドル以上,又は500以上の対アンゴラ人雇用を創出する投資
ゾーンB: 2000万ドル以上,又は500以上の対アンゴラ人雇用を創出する投資
ゾーンC: ゾーンBと同じ
また以下の条件(第29条)を2つ以上満たす場合,いずれのゾーンでも最大限の免除が付与されます。
a) アンゴラ経済の戦略的開発に大いに貢献すると認められた案件
b) 国民に対し500以上の直接雇用を創出及び維持する案件
c) 技術革新及び科学調査に大いに貢献する案件
d) 投資に起因する輸出の年額が5000万米ドルを超える案件
5 主要機関連絡先
実際の投資手続き等に関しては,ANIPにご確認ください。
■アンゴラ民間投資庁(ANIP)
電話: +244(2)391434
FAX: +244(2)393381
住所:Rua Cerqueira Lukoki, Number 25, Edificio do Ministerio da Industria, Luanda
HP:http://www.anip.co.ao
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